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もしも大型バイク乗りが0からバイクに挑戦するならどうするか?

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こんにちは。レアンです。
愛車はCB1300SBとXV250Viragoです。

もしも大型バイク乗りが0からバイクに挑戦するならどうするか?
というテーマでお送りします。

タイトルつけるなら最近のラノベ風に......

『転生したら仮面ライダーになったけど免許がないから大型二輪免許にいきなり挑戦することになった』

こんなとこでしょうか。やたら長いんですよね、最近のラノベは。
折角なので大型二輪免許に挑戦するものとします。

 

レアン
ブログで14,000字以上のSS!?

 

0から大型二輪免許に挑戦する話

「登場人物」

主人公:ブラック企業で過労死したのち、転生した。

女神:主人公を転生させた。かわいい。

男:ライダー。主人公に色々教えてくれる。

店員:バイク屋の店員。

序章  バイクに乗りたいか?

女神「ってことで、貴方には仮面ライダーになってもらいます」
主人公「待て待て待て! 話が急すぎる! もう少し詳しく!」

きわどい衣装を纏う女性が首をかしげる。かわいい。

女神「貴方は過労死しました。そして女神たる私の力で転生させました」
主人公「うん。......うん?」

俺は生き返った、らしい。

女神「ってことで、貴方には仮面ライダーになってもらいます」
主人公「全っ然わからん!なんで仮面ライダーなの!?」

にっこり。じゃねーんだわ!なんなのこの人!?いや神!?

女神「転生したことは受け入れてくれるのですね。貴方にはご当地仮面ライダーになってもらいます」
主人公「ご、ご当地仮面ライダー?色々アウトなんじゃ……?」

ご当地ヒーローと仮面ライダーを同時に敵に回してる気がする。

女神「細かいことはいいのです。貴方はライダーとして新たな人生を歩むのです」
主人公「転生とか神っぽいなと思ってたけど、この強引さは神だわ」

自称女神から自称がとれた瞬間だった。

女神「ところで、貴方はバイクに乗ったことがありませんでしたね」
主人公「え? あ、はい。そんな暇なかったですし」

ブラックすぎて金もないわけではなかったが時間がとにかくなかった。

女神「では教育係をつけましょう。素晴らしいライダーになるのですよ」
主人公「あれ? ライダー確定? 穏やかに暮らすルートはなし?」
女神「つべこべ言わない!貴方が地域振興を頑張ってくれなきゃ私がほかの神に負けちゃうの!」
主人公「とうとう本音出てきたな!?」

この女神、ほかの神と競ってやがる。コマが足りなくて俺を転生させたってわけか!

女神「うるさい!それとも今もう一度〇なせてやろうか!」
主人公「もうヤ〇ザじゃん! 怖いよこの女神様!」
女神「あーもう!男さん、この人間を教育してあげて!」

横顔もかわいいな、と思うや否や何もない空間から人影が現れた。

男「承知しました。主人公さん。私は男という。よろしくな。」
主人公「急にマッチョが出てきた?!よ、よろしくお願いします?」

2mに届こうかという筋骨隆々の大男が出てきた。でけぇ。

男「早速だがライダーになるんだってな?ひとつだけ、重要なことを聞くぞ。」

ごくり。マッチョが一呼吸置くだけで凄みがある。

男「バイクに乗りたいか?」

端的だが、重みのある声だった。

主人公「へ?あー、まぁライダーになるならバイクには乗らなきゃですよね」

もっと深刻な質問かと身構えていたせいか、相槌のような返事しかできなかった。

男「違う。気持ちの話だ。お前はバイクに乗りたいか?」

気持ち......確かに生前はブラック企業勤務で時間がなくて趣味なんてなかった。
あるのは残業と接待。たまの休日は眠りこけて終わりだった。
営業先に移動するときに日本一周を掲げたバイクを見て自由だな、なんて思ったっけ。
初めて自転車に乗った時、どこまでも行ける気がした。
風を切って進む感覚に高揚した。
あれの何倍も何倍も遠くに行けるバイクなら、どんなに気持ちがいいだろう。

主人公「乗れるなら、乗ってみたいです。バイクに」

そういうと男はニッと笑った。

男「よく言った!では俺が教えてやるからついてこい!」

 

第一章 金と時間を用意しろ

男「まずは金だ、そして時間だ」
主人公「俺、金ないですよ。時間はあるのかな」
男「お前は女神様が転生させた身だ。金はこちらで用意した。当然、時間もある」

至れり尽くせりだった。
ブラック企業勤めの身では到底為し得ない芸当である。

男「過労死は珍しくないが、良くもない。女神様の温情かもしれないな」
主人公「本当、助かります」

神々の遊びに付き合わされてるだけな気もするが、以前よりはずっとマシだ。
無能な上司にこき使われるより、女神に使われる方が精神的もいい。文字通り天地の差だ。

男「しかし、一般的な社会人が用意すべき金と時間についても知っておく必要がある。何故なら教習所には志を共にする仲間がいる。仲間のことを知るのは当然だろう」

そうだろうか。とはいえ、非常識は身を滅ぼすので素直に聞くとする。

男「今回は大型二輪免許を取得する際に必要な費用について話していくぞ。大は小を兼ねる」

そういうものか。大型と普通の違いがわからないので俺には比較のしようもない。
男の話をまとめるとこんな感じ。

 

ポイント

【金】
・教習所代 20万円
・印紙代等 1万円
・装備費  4万円

【時間】
・教習日 14日(14+17+1=32時限)
・検定日 2日
・試験日 1日

メモ

※金額は概算。地域、時期によって差あり。
※教習所代は普通自動車免許ありの場合。
「なし」+10万円、「普通二輪」-10万円
※基本的に卒検と試験日は別。
(卒検の時間と試験受付時間が被るため)

 

主人公「17日でとれるんですね」
男「順調にいけば、だがな。技能は1段階で1日2時限、2段階で1日3時限受けることができる。検定後に予約が取れればさらに縮められるかもしれん」
主人公「1日3時限ずつ受けれる社会人っているのかな」
男「いい疑問だ。休日ならともかく、出勤日で3時限は厳しいだろう。しかし、夜も実施しているので1~2時限ほどは受けられるはずだ。定時にあがれる日に詰めていけば社会人でも十分に取得可能なんだよ」
主人公「テイジ......?」
男「おっと、失言だったか。まぁ社会人なんだからスケジュール調整で休日や仕事終わりをうまく使おうってこたぁな」

一瞬なじみのない単語が出てきて戸惑ったが、社会人でも大型二輪免許は取得できるようだ。
教習所にいっても同年代がいるかもしれない。

男「ざっと見積もって25万と20日。これくらいあれば大型二輪免許を取れるってわけだ」
主人公「金額はなんとかなるとして、時間はある程度作らないとですね」

社会人が自由に20日も連続で使えるわけがない。有給消化にしても稀な例だろう。

男「そうだな。現実的に1~2か月はかかるだろう。とはいえ、6か月まで有効だから時間切れってことにはなりにくい」
主人公「夏に乗りたければ春には教習所に通う必要があるってことですね」
男「逆に秋に通って来春までにバイクをじっくり探す人もいるな。思い立ったが吉日だ。俺は10月中頃から通ったぜ」

思い立ったが吉日、か。思えばバイクをかっこいいと思ったとき、そこには乗ってみたいという欲求があった気がする。
目まぐるしい日常の中で搔き消えた思いを感じながら男の話に意識を戻す。

男「時間の確保はバイクに乗り出した後も課題になる。時間を作る練習にもなるし、やらにゃならん」

時間だけは平等である。と誰かが言ってそうな気がするが、使える時間は不平等だ。如何にして時間を有効に使えるかで人生は変わる。
俺は一度失敗した身だからよくわかる。自分を犠牲にしてまでやる仕事はない。自分の人生は自分のものだ。
己の拳を握ったところでふと、思う。

主人公「装備費ってなんですか?教習所で必要になるものとか?」
男「そうだ。基本的に貸出用の装備はあるが、自分用があった方がいいものもある。それらの費用だ」
主人公「なるほど、具体的にはどういったものなんですか?」
男「よし、次は装備品の話にするか」

 

第二章 装備は頭手足の3点セットだ

男「いいか、グローブとブーツ、それにヘルメットだけは教習前に用意しろ」

マッチョが手を広げ足を踏み鳴らすとちょっと怖い。

主人公「ヘルメットは貸出があるって聞いたことがあるんですが、必要なんですか?」
男「不衛生だし安全性にも疑問が残る。いずれ使うんだ、買っとけ」

男が髭を掻き、続ける。

男「もしヘルメットを用意するならフルフェイスにしておけ。システムヘルメットでもいいが、顎までガードできるやつだ」
主人公「原付の人が被ってるようなのはダメなんですか?」

顎が出てたり、帽子のようなものも見たことがある。

男「論外だ。晩飯に自分の顎肉のミンチを食べたいなら止めないがな」

おぞましい想像をしてしまった。嫌すぎる。

主人公「フルフェイスの顎なしのやつもダメですか?」
男「ジェットヘルメットか。我輩は勧めない。教習所では十分だが、公道でも使うとなると気が引けるな」

ヘルメットはよほど重要なのだろう。男の顔は真剣そのものだった。

男「教習所用と割り切れる財力があるならジェットでもいい。だが、普通はそのまま使うだろう。ヘルメットは安くない」
主人公「なるほど。ちなみにどれくらいするんですか?」
男「1~5万程度だな。はじめは2~3万のものを選ぶといい。余裕があれば5万以上のものがベストだ」

たっか。5万って中古の原付買える値段じゃないか。

男「ヘルメットは生命線だからな。ケチると死ぬ。とはいえ、いきなり高性能なものを買って教習中に転んでぶつけました、では悲しすぎる」
主人公「確かに、高いほど傷ついたらショックですね」

マッチョがにやりと口角を上げる。

男「傷もそうだが、ヘルメットは一度ぶつけたら終わりだ。一見大丈夫そうでも、機能は崩壊している。そのまま使って事故ったら死ぬぞ」

高級スペ〇ンカーかよ。ヘルメットの扱い怖すぎる。

主人公「たった1回ですか。落としてもアウトってことですよね」
男「その通り。ヘルメットは赤子だと思え」
主人公「肝に銘じます。ところで、グローブとブーツはどうして必要なんですか?」

まさかグローブとブーツはス〇ランカー仕様じゃないだろう。

男「安全と上達速度に直結するからだ。操作性が段違いなんだよ」
主人公「操作性が大事ってことですか」

マッチョが頷く。

男「まずはグローブ。大きくわけると2つの利点がある。一つは安全性。素手や軍手に比べて転んだ際のダメージがまるで違う。そして保温力があるため、走行風で手の冷えも防いでくれる。手首も覆えるタイプはより安全だな」
主人公「走行風は盲点でした。そんなに冷えるんですね」
男「時期によるがな。真夏以外は寒いと思え。そして2点目は操作性。バイクは指先の感覚が大事で、バイク用は作りが違う。教習で掴んだ感覚を自前のバイクで活かすにもグローブが同じ方がやりやすい。それだけ上達速度も変わってくる」

マッチョが思い出したように一段階声色が高くなる。

男「そうだそうだ。季節に合ったものを選ぶと快適性も高まるぞ。春秋冬と夏の2種類、とりあえず教習を受ける季節に合ったものを用意するといい」

グローブは実際に想像していたよりも重要な装備らしい。

主人公「なるほど。となると、ブーツも似たような感じですか?」
男「わかってきたじゃねぇか。ライディングブーツでなくても構わないが、バイクに適した靴が望ましい。正直、靴はグローブの倍以上に重要だ」

靴は超大事。ふと見ると、マッチョの靴は黒光りした紐のないブーツだった。

男「まず利点はグローブと同じ。異なるのは不適切だった場合の危険度だ。グローブは素手でも分厚い手袋でもまぁなんとかなる。レバーを握れればいいわけだからな」

手をグーパーさせるマッチョはちょっとかわいいかもしれない。

男「なんだその目は。まぁいい、ブーツが不適切な場合はとんでもなく危険だ。常に某上級国民のハイブリッド車みてぇな状態になる。いや、あれは車体に問題はなかったから例えになってねぇか?」
主人公「ブレーキや操作が効かないのは恐ろしいですね」

笑顔になるマッチョ。爽やかだ。

男「ブレーキは使えるんだが、シフトチェンジに難がある靴はマジでやめとけ。命にかかわる」
主人公「サイズ違いとかじゃなく、形状の問題もあるわけですか」
男「いいセンスだ。紐を隠せないタイプは絶対にやめろ。絡まって死ぬ。ツルツルすぎるのも考え物だな。思わぬタイミングで体勢が崩れる。分厚すぎるのも純粋に操作が難しい。サイズ違いは感覚を鈍らせるから、ちょうどいいやつを履くことだな」

意外と制約が多い。ブーツと称したのは一般的な靴がだいたい制約に引っかかるからなのか。

主人公「普段履いている靴で滑らなくて紐を隠せるタイプなら問題ないんですかね」
男「教習はそれでもいいが、公道はダメだ。踝までの靴はいろいろと危険だ。事故ったら削れる。裾を入れられないから引っかかるリスクもある」

制約が本当に多いんだな。まずないだろ、普段履いてる中で条件に合う靴。

主人公「装備もけっこう重要なんですね。思ったより大変そう」
男「まぁ細かく話したが、バイク用から気に入ったものを選べばだいたい問題ないから深く考えなくてもいいぞ」

餅は餅屋というやつか。どれも教習後も使えるなら気に入った装備をそろえるとモチベーションも高く保てそうだ。
装備について簡単にまとめるとこんな感じか。

 

ポイント

【ヘルメット】フルフェイス、またはシステムヘルメット
【グローブ】バイク用かつ春秋冬or夏用の季節に合ったもの
【ブーツ】紐ないor隠せる、踝を覆える、サイズの合うもの

 

まとめると意外にシンプルだ。
バイク用で調べたらすぐに探せそうな条件が明示されているだけやりやすい。

主人公「今どきは通販で全部揃いそうですね」
男「余裕で揃う。ただし、ヘルメットは店頭で買った方がいいかもな。メーカーによるサイズ感やフィット感の差は、実際に被らないとわからないものだ」
主人公「店が近くにない場合はどうしたらいいですか」
男「頭のサイズを測ってメーカーのサイズを信じて買うしかないな。周りにバイク乗りがいて貸してもらえるなら、大体のあたりをつけることもできる」
主人公「ヘルメットは高いので失敗したくないですもんね。慎重になります」
男「だからこそ、最初から高額のヘルメットを選ぶよりも低~中程度のもので特徴やサイズ感を知るのを勧めてるんだ。システムヘルメット買ったけど重いからフルフェイスにしよう、などの考えも出てくるかもしれない。慎重になって損はない」
主人公「ありがとうございます。グローブとブーツは通販でもいいんですよね」
男「やはり店頭で買う安心感には敵わないが、グローブは許容範囲が広く、ブーツは中敷きなどで多少は対応が効くからヘルメットほどシビアではないな」
主人公「なるほど。通販で完結できると楽で助かります」
男「現代はすごいな。まぁ多少フィット感がない程度なら、バイクに慣れてきた段階で気に入ったものを新調すればいいだけなので、まずは気楽に用意してみるといい。だいたい大丈夫だ」
主人公「わかりました。とりあえずアマ〇ンみてきます!」
男「よし、装備が揃ったらいよいよ教習所だな」

 

第三章 教習所に通え

マッチョの教えに従って3点セットを用意した。

 

メモ

ヘルメット(10,000円)
グローブ(3,500円)
ブーツ(5,500円)

 

Amaz〇nで高評価が多く手頃なものをポチった結果、19,000円で揃えることができた。

男「よし、システムヘルメットか。教官とも話しやすく、走行中は顎を守れるいい選択だ。少々安物感があるが......いいだろう。転んで公道デビューに使えなくなる可能性も考慮したら、1万円でリスク回避できたとも言える」
主人公「ありがとうございます。落としたりぶつけたり、不安だったので割り切りました。公道でもはじめのうちはいいかと思いまして」
男「不安を排除するのは重要なことだ。教習中も公道でも必要な心掛け感心するぞ」

大仰に頷くマッチョ。

男「さて、教習所に通うわけだが、入校手続きは済ませたか?」
主人公「まだです。必要なものとかあるんですか?」
男「自分で調べろ。と言いたいところだが特別に教えてやろう」

 

ポイント

・免許証(ない場合は住民票)
・保険証またはパスポート
・眼鏡またはコンタクトレンズ(片目視力0.3、両目0.7以下の方)

 

男「詳しくは通う予定の自動車学校のHPで調べてくれ。他にも印鑑、入学金など必要なものがあるところもある」
主人公「ありがとうございます。さっそく手続してきます!」

小走りで駆け出した俺の背中にマッチョの呟きがかすかに届いた。

男「今どきはネットで仮入校できる場合もあるが、まぁいいだろう」

 

主人公「入校手続きしてきました! 教習の予約が2週間後まで埋まってたので、そこからスタートらしいです。入学金諸々はその時に支払うことにしました」
男「ご苦労様。ローンや1時限ごとの支払いも可能だが、やはり一括が手っ取り早く安いからな。もちろん一括だろう」
主人公「はい。というか女神様に用意していただいたお金があるので困りませんでした」
他の受講生には口が裂けても言えないな、と気を引き締める。
男「よし、では教習日にまた会おう」

 

2週間後。あっという間に教習1日目が終了した。

男「どうだった。バイクに触れてみた感想は」
主人公「面白かったです。エンストしまくりで自動車教習を思い出しました」
男「そいつはよかった。教習期間中にたくさん失敗するといい。下手に見栄を張って質問しなかったり、挑戦を避けた操作をしていると後悔することになるからな」
主人公「あ、それ車の時も聞きました。公道でいきなり失敗したら焦る上に事故に繋がりかねないから今のうちに失敗しとけって教官が」

ほほう、とマッチョが髭をなでつける。

男「いい教官にあたったな。バイクはミス=死だと思った方がいい。教習所内で何度でも失敗しておけばミスの可能性をグッと下げられる」
主人公「はい。この調子で頑張ります」

 

さらに2週間が過ぎ、一段階のみきわめが終了した。無事合格。

男「みきわめ合格おめでとう。バイクには慣れてきたか?」
主人公「ありがとうございます。そうですね、エンストもほとんどしなくなりましたし、なんとなく乗れてるんじゃないかって気がします」
男「いいじゃないか。NC750は乗りやすいとはいえ大型だ。よくできているよ。二段階も心配ないな」

なんだかマッチョに肯定されるとすべて上手くいく気がしてくるんだから不思議だ。

主人公「頑張ります。一段階はバイクに慣れるのが目的って感じがしたので、これからが本番ですね」
男「勘もいいじゃないか、その通り。一段階で多少つまずくことがあっても心配ない。慣れるのが早いか遅いかの違いだけで、ここで挫折するのはもったいないな」
主人公「ですね。教習中に40代の女性にも会いましたが、すでに二段階に進んでいるようでした。年齢も性別も関係なく頑張ればいけるんだって勝手に自信つけさせてもらいました」
男「うむ。引き起こしもコツを掴めば簡単なので、本当に年齢性別は関係なく多くの人に挑戦してもらいたい。白バイ隊員の女性は300㎏の車体をあげるくらいだ。希望しかないな」
主人公「300……教習車のNC750は230㎏くらいだと聞きました。確かに300と比べたらだいぶハードルは低いですね」
男「教習所によってはXJR1300、XL883、ビッグスクーターなど色々な車種をおいていることもある。二段階までくると基本操作はできているものとして、色々試しに乗ることもあるだろう。そこで車重やタイプによる特性なんかも学べるから一段階で諦めずにクリアした人は二段階がかなり楽しいものになるはずだ」
主人公「ますます楽しみです。二段階も頑張ります」

 

さらに2週間後。ついに二段階のみきわめも合格。
ほとんど卒業試験で求められる水準でみているようだった。
ここを突破した安心感は並じゃない。
たまたま一緒になった人と意見交換しながら臨んだみきわめで落ちたら、想像しただけでショックが大きい。
卒検のコースは当日にならないとわからないが、技能的には一定以上と認められたおかげで卒検はなんとかなるかも、なんて思い始めている。

なにより、

主人公「バイクってこんなに楽しいんですね!」
男「あぁ、最高の乗り物だ。あと一歩で免許を手にする権利を得られるぞ」
主人公「はい! 週末の卒検が楽しみです。緊張もありますけど、早くバイクに乗りたいです。教習車でもいいから早く乗りたいんです」
男「わかる、わかるぞ。バイクは降りた瞬間からなぜか乗りたくなるんだよな。あとは備えて、休め」
主人公「そうですね。風邪ひいたら洒落になりませんもんね。ネットでバイク調べながら当日を待ちます!」
男「すっかりバイク好きになったな。バイクは跨らせたら勝ちって誰かが言ってたが、その通りだな」

主人公が帰ったあと、俺が言ったんだっけな、なんて呟くマッチョだった。

 

終章  好きなバイクに乗れ

男「卒検合格おめでとう」

無事に卒検を合格、晴れて卒業証明書を手に入れた。

主人公「ありがとうございます。男さんのおかげです!」
男「お前の頑張りだよ。あとは免許センターに行くだけだな」

あまりに晴れやかな気分で、免許センターでの面倒な手続きも楽しみなくらいだ。

主人公「さっそく行ってきます!」

なぜかマッチョが優しく微笑む。

男「待て待て、受付時間は確認したか?」

なんてことだ。免許センターのサイトを確認すると「午前のみ」と記載がある。
主人公「俺の昂った感情はどこへぶつければいいんですか!」
高揚した脳は慎みなど目に入らないようだった。
やれやれと言わんばかりのマッチョ。

男「そう慌てなさんな。バイク屋に行くといい。免許取得日まで色々妄想が捗る」

俺はマッチョの口が閉じる前にお辞儀をして、近くのバイク屋を探して走り出した。

 

マッチョの言う通りバイク屋は最高だった。
通りをガラス越しに見たり、外に出ている車体を見ることはあったが、実際に触れられる距離にあるバイクのカッコ良さたるや。
教習車用の余計な装備もついていない自然体のバイクが所狭しと並んでいる。
ネイキッドからクルーザー、スクーター、オフロードなど多種多様の二輪車たち。

どれも個性的でカッコよく見える。
浮かれ模様が伝わったのだろうか、店員が跨ってはどうかと促してくる。

店員「足がつくかとか、姿勢とか跨らないとわからないことって多いですから」

最初に選んだのは一般的にバイクと言えば思い浮かべるだろう形をしていた。

主人公「うわ、なんだこれ。え、すごい」

足を引っかけないように、倒さないように、恐る恐る跨ったバイクは圧巻だった。
外観を眺めていたカッコよさは芸術としての感想だったのかもしれない。

眼前にあのカッコいいフォルムはない。
教習車より大きいタンク、そしてハンドル、左右にはミラー、中央にはメーターが二つ。それだけ。
たったそれだけなのに身体が興奮している。
もう初めてバイクに跨ったわけじゃない。それなのになんだ。教習車では感じなかった心臓の高鳴り。
無骨な見た目からは想像できない安心感。
どこまでも走っていけると思わせてくれる感覚。

主人公「なんか、すごいですね!」

言い知れぬ感動で気の利いた言葉は出てこなかったが、店員は満足そうに頷いてくれた。
その後も色々なバイクに跨らせてもらった。

三台目くらいまでは緊張したが、それ以降は早く跨ってみたいという欲で搔き消されていた。
クルーザーは跨ると威圧感を手に入れた気分なのに、高級ソファーに座っているかのような快適さがあった。
オフロードは頑張って片足がつく程度で、ボディは細いし座面は固いし何がいいのかよくわからなかった。
十台以上跨ったが、最後まで気になったのは二台だった。
一つは最初に跨った無骨で緑が特徴的ないかにもなハーフカウルのバイク。
もう一つは流線形が美しくもカッコいい五連メーターのバイク。
どちらも惹かれるものがあった。
結局候補を絞り込めないまま、後ろ髪を引かれる思いでバイク屋を後にした。

 

翌日、免許センターで大型自動二輪免許の取得を済ませた。

呆気ないとはまさにこのこと。期待で昂る間もなく指示に従っていたら交付が完了していた。

主人公「大自二って記載されるんだ......。これで好きなバイクに乗れる......!」

長いようで短かった教習を思い出しながら、再び興奮が脳を支配する。バイクに乗りたい。
帰りの足でこの間のバイク屋に向かった。

 

店員「いらっしゃいませ」
男「免許取得おめでとう。乗りたいバイクは決まったか?」
主人公「ありがとうございます。バイクはどれもカッコよくて迷ってます」
男「初めてのバイク選びには色々な説があるが、俺は見た目で決めていいと思うぞ」
主人公「どれもかっこいいですけど、性能とかジャンルとかは気にした方がいいんじゃないですか?」
男「もちろん大事だが、最初の一台が基準になるからなんでもいいんだ」
主人公「基準ですか」
男「そうだ。砂浜を走りたいとかサーキットを走りたいとか、明確な用途が決まっているなら別だがな」
主人公「色々やってみたいですけど限定した用途は考えてないですね」
男「そうだろう。最初はそんなもんだ。色々な道を走っていてふと林道を見つけたけど入れないとか、峠を走っていてもっと技術を磨きたいとか、走っていて気付くことが多いんだ」
主人公「なんとなくわかります。見た目だけは用途に関係なく好みでいられるということですね」
男「その通り。オフロードでロングツーリングだってできるし、クルーザーで峠だって走れる。バイクは完璧な乗り物じゃない。不満は絶対に出る。だからこそ見た目さえ気に入っていればちょっとした不満くらい吞み込めるもんだ」
店員「まさに仰る通りです。どのバイクを選ばれてもしっかり整備してお渡ししますよ!」
主人公「なるほど、ありがとうございます。もう一度見て回ってみます」
昨日見たばかりだが、また見て回る。やはりどれもカッコいい。
男「ちなみに地域復興ライダー用のバイクは準備してあるからな。外装弄りまくったやつ」
主人公「え!?そういえばそんな話ありましたね!すっかり忘れてました」
男「すっかりバイク乗りになってるな。まぁ先入観持たないようにお披露目は今度にするから、好きなバイクを選びな」
主人公「はい!」

 

小一時間ほど店内を巡り、ついに決めた。

主人公「これにします!」
男「いいんじゃないか?ファイナルエディションで結構高いけどな、女神様から金は預かってる。買えるぞ」
主人公「あれ、そういえば個人のバイクなのにお金出していただけるんですか?」
男「教習所費用とライダーバイク費用の残額は自由にしていいってことだったからな、300万くらい余ってる」
主人公「気前がいいですね。ありがたくバイク代にします!」
店員「お買い上げありがとうございます。早速契約のお話をしましょうか」

気に入ったバイクの前での話を切り上げ、店の奥のテーブルで契約についての話をいくつかした。

店員「それではここにサインを頂いて終了です。もう判子レスの時代なのでサインだけで結構です」
主人公「わお、簡単に買えちゃうんですね。支払いも今でいいですか?」
店員「構いませんが、納車時の方がいいと思います。何か追加の作業やパーツが出たときにまとめてお支払いいただけます」
主人公「それもそうですね。わかりました。納車はいつ頃になりますか?」
店員「そうですね......」

店員さんが作業予定を確認したところ、納車は3週間後になるそうだ。随分と繁盛していて時間がかかるとのこと。
納車時の確認を済ませて店を後にした。

 

ついに納車日がやってきた。
何度も同車種の動画を見て、何度もレビューを読んで、何度も不安と期待を行き来した。

主人公「こんにちは!納車で約束していた者です!」
店員「お待ちしておりました!まずは書類の説明からさせていただきますね」

なんとまだ乗れないというのか。お子様プレートを前にいただきますの挨拶をしろと叱られる子どもの気分だ。
説明は20分ほどで終わった。保管する書類や盗難保険のこと、スペアキーを使った方がいいことなど教えてもらった。

あと任意保険は絶対に加入しろ。人身傷害までつけたほうがいいと、きつく言われた。

 

スペアキーを使うのは紛失した際のリスクが減るからだそうだ。
スペアキーは本物と若干のズレが生じるため、スペアのスペアを複製するといずれ合わなくなる。そうするとシリンダー交換になるが、複製よりかなり高くつく。
それならばスペアキーを使った方が、紛失してもまた本物から複製できるのでシリンダー交換の恐れはないというわけだ。

 

任意保険は常識だが、自分と相手のために必ず加入するべきだと思う。

搭乗者傷害保険でいいかと思っていたが、死亡しない限りほぼ出ない、出ても雀の涙だと言われたので人身傷害まで格上げした。

保険料は高くなるが、危険と隣り合わせのバイクだからこそ、必要なことだった。

流れでバイクの説明もしてもらった。

店員「それでは以上になります。何かお困りのことがあればいつでもご連絡ください」
主人公「ありがとうございます!えっと、もう乗っていっていいんですか?」
店員「はい!道路に合流するところが意外と危ないので、気を付けてくださいね」
主人公「なるほど、ありがとうございます。それじゃあ乗ります!」

ヘルメットを被ってグローブをつける。恐る恐る跨って、エンジンをかける。バイクの鼓動を感じる。
スタンドを外して教習所よりも慎重に――走り出した。

まだ敷地内。店員さんが挨拶してくれている気がしたので会釈しつつ道路へ向かう。
ウインカー出せてる。歩行者きてない。車、なし。

気が付いたら夢中で走っていた。街中から郊外へ。
初めてじゃないのに初めての感覚。最高の気分だった。

 

どれくらい走ったかもわからないが、突然バイクがガタガタしたと思ったら、止まった。

主人公「あ、あれ?」

嫌な汗が止まらない。整備はしっかりしてもらったはず。何も変なことはしてない、はず。
慌てて降りてシート下にしまった書類から店の番号を確認。とにかく電話してみよう。

男「やっちまったなぁ」

主人公「うわ!?男さん!?え、バイク?もしかしてついてきてました?」
男「実はついてきてた。まぁこうなるだろうと思ってな」
主人公「え、なんで止まったかわかるんですか!?どこが壊れたんです?」
男「ガス欠だ」
主人公「え?」
男「ガス欠だ」
主人公「GASUKETSU?」
男「そうだ。店員が言ってただろう。ガソリンは少ししか入ってないのですぐに給油してくださいって」
そんなことも言ってたような気もする。
主人公「てことは、ガソリン入れたら直るんですか?」
男「直るというか、まぁ走れるようになるな。わけてやるよ」
主人公「ありがとうございます!」
男「ガソリン携行缶は便利だぞ。出先でガス欠を防げるし、レスキューもできる。」
主人公「まだまだ覚えることがたくさんありそうです」
男「経験だな。少しずつ覚えていくといい。それもバイクの楽しみ方のひとつだ」
主人公「はい!ありがとうございます!」
男「そんじゃ、少し走るか」
主人公「はい!」

 

お気に入りのバイクと共に気ままに走る。
来る日も来る日もバイクに乗りたいと思う。そして乗る。
相棒と呼ぶまで時間はそうかからなかった。

女神の要請で地域復興ライダーの仕事に追われる日々。
台本や演技などバイクと関係ないことは大変だったが、充実していた。
2台もバイクに乗れて最高に楽しかった。
今日もまた相棒に跨り仕事に行く。
これからもバイクと共に新しい人生を歩んでいこうと心に決めて。

これまでにかかった費用が給料天引きなことに気付いて女神に抗議するのは、もう少し先の話。

 

おわり。

 

おまけ 動画とイメトレは無料の上達方法

女神「いきなりですが、おまけコーナー!」
主人公「これまた急ですね。オチたばかりじゃないですか」
男「まさか費用が天引きになってるとはなぁ」
主人公「本当ですよ!さらにおまけで仕事させないでくださいよ!」
女神「そんなポンポンお金生み出したら世界の均衡を崩しちゃうでしょ!」
主人公「もっともらしいこと言っても困りますよ!」
女神「それより今回のおまけコーナーは本編では語られなかった上達方法についてです!」
主人公「あ、話を逸らした!」
男「確かに触れていない上達方法がありましたね」
女神「でしょう?この仕事をちゃんとしてくれたらボーナスを支給します」
主人公「やります!なんか癪ですけどマフラー代がほしいのでやります」
男「すっかりバイク乗りだな。上達といえばアレのことだろう」
主人公「はい。無料で上達できちゃう絶対やった方がいいアレですね」
女神「お金はちゃんとあげたのに無料の上達方法を試していたの?」
主人公「結局、私持ちの費用でしたけどね。いい上達方法が無料ってだけで安かろうとかではないんです」
男「そうなんです。いい時代になりました」
主人公「無料の上達方法は、動画とイメトレです!」
女神「動画はわかるけどイメトレ?」
男「動画で操作や感覚を掴んだら、イメトレでそれを補強してあげるんです」
主人公「寝る1~2時間前くらいに動画をみて、自分がそれをものにしてるイメージをしながら寝るんです」
女神「それで本当に上手くなるの?」
男「上手くなります。動画をみただけでは定着しにくいですが、イメトレを組み合わせることで定着しやすくなるんです」
主人公「動画ではこうしてたなぁ、と思いながら運転すると意外なことにスムーズにできちゃうんですよね」
女神「へぇ、それじゃあ動画はどんなものを見ていたの?」
主人公「Youtubeにある初心者向け動画をひたすら見てました。プロの映像は凄すぎてモチベーションにはなるんですが真似できる気がしません」
男「今どきは検索すればかなりの数があるので再生数の多いものから見れば外すことは殆どありません」
主人公「実際、私が検索したのは以下のワードです」

 

メモ

「バイク 初心者」
「バイク 教習所 大型」
「バイク 教習所 注意点」
「バイク コツ」
「バイク 大型 一本橋 コツ」
「バイク 卒検」

 

主人公「まだまだ検索しましたが、どれも有用な動画が投稿されています。いくつか見ているとわかりやすい人がわかってくるので、その人のチャンネルから初心者向け動画を片っ端から見ました」
男「一昔前なら有料教材だったんじゃないかってくらい質のいい動画がたくさんあっていい時代になりました」
女神「なるほどね。イメトレと合わせて教習所にいない時間でも上達できるってことね」
主人公「教習所に通っている頃は早く乗りたくてしかたなかったので、動画やイメトレで少しでも多くバイクのことを考えていました」
男「せっかく無料で上達できるんだから、やった方が得です」
女神「そうね。これはいいことを聞いたわ」
主人公「ん?兎に角、動画も大事ですけど、イメトレがかなり重要ですね。咄嗟の対応もイメトレした部分はしっかりできましたし」
男「スラロームでスリップしたときの持ち直しはよかったもんな」
主人公「あれは思い切ってアクセルを開けるイメトレをしてたから踏ん張れましたね。二―グリップと合わせて一気に戻せました」
女神「ということで、今回のおまけコーナーはここらへんで終了しましょう」
男「動画とイメトレでモチベーションを高く保ちつつ上達してくださいね」
主人公「きっと素晴らしいバイクライフが待っています!」

女神様が人間界で大型バイクを乗り回すのは、ほんの少しだけ先の話。

 

今度こそ、おわり。

 

まとめ:0からバイクに挑戦するなら準備を入念にしよう!

14,000字以上の大作になってしまいました。

完走してくださった方、ありがとうございます。

飛ばしてまとめだけ見に来た方、興味が湧いたら読んでみてください。

 

ここでは作中で登場した役に立つポイントをまとめました。

 

免許取得に必要な費用と時間

【金】
・教習所代 20万円
・印紙代等 1万円
・装備費  4万円

【時間】
・教習日 14日(14+17+1=32時限)
・検定日 2日
・試験日 1日

メモ

※金額は概算。地域、時期によって差あり。
※教習所代は普通自動車免許ありの場合。
「なし」+10万円、「普通二輪」-10万円
※基本的に卒検と試験日は別。
(卒検の時間と試験受付時間が被るため)

 

装備選び

【ヘルメット】フルフェイス、またはシステムヘルメット
【グローブ】バイク用かつ春秋冬or夏用の季節に合ったもの
【ブーツ】紐ないor隠せる、踝を覆える、サイズの合うもの

 

入校手続き

・免許証(ない場合は住民票)
・保険証またはパスポート
・眼鏡またはコンタクトレンズ(片目視力0.3、両目0.7以下の方)

 

注意ポイント

・ヘルメットは落としたりぶつけたりしたら使用不可(見た目は無事でも中身がダメ)

・納車後はすぐに給油すること(ほとんど入ってないことが多い)

・任意保険には必ず加入すること(人身傷害までつけたほうがいい)

 

最後にこれだけは伝えたい。

 

自分の好きなバイクに乗ろう!

 

誰に何と言われようと自分の好きなバイクが一番です。

あなたに素敵な出会いがありますように。

 

ご精読ありがとうございました。

またお会いしましょう。

 

レアン
バイク最高!

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